大阪市建設局で5月20日に発生した浪速区恵美須西3丁目の下水道マンホール引火事故について(平成26年5月20日報道発表)、事故原因と再発防止策並びに今回の事故を受けて実施した緊急点検結果を取りまとめた。
1 事故概要
2 事故原因
下水には、下水中に含まれる有機物を微生物が分解することで、メタンガスが発生し、また、下水の温水が高くなるほど微生物の活動が活発になり、メタンガスの発生量が増加する性質がある。
事故現場付近の下水管は、その下流部で埋設深さが浅い既設管に接続するため段差が生じており、下水が滞留しごみや有機物がたまりやすい構造になっていた。さらに、事故現場の下水管には温排水のみが流れ込み平均的な下水の水温より約10℃高いという悪条件が重なり、メタンガスが発生しやすい特殊な状況にあった。
事故マンホールから回収したごみの中にたばこが多く含まれていたことから、事故前はマンホールからメタンガスが安全な濃度まで発散していたと思われる。
事故時に、何らかの原因により一時的にマンホール内のメタンガス濃度が高くなっていたと推測される。これはマンホール内にごみが浮遊していたことによりメタンガスの水中からの発散を阻害していた可能性もあると思われる。
3 事故発生箇所の対応と再発防止策
(1) 清掃
メタンガスの発生源となる下水管内に堆積した有機物とごみを清掃した。清掃後のメタンガス濃度は、不検出から多い時でも清掃前の10分の1以下と危険性がないレベルまで低下し、清掃の効果を確認できた。
最小 | 平均 | 最大 | 測定期間 | |
清掃前 | 0.2 | 0.79 | 2.2 | 5/21~6/1 |
清掃後 | 0 | 0.04 | 0.4 | 6/4~6/16 |
(2) 再発防止
1) 中蓋の設置
事故マンホールを含む周辺7箇所に、火のついたたばこがマンホール内部に落ちないように網目の細かい中蓋を設置した。
2) 継続的な点検と清掃の実施
今後も引き続き、メタンガス濃度の測定や下水管内の堆積状況等の点検を行いながら、状況に応じた清掃を継続的に行う。
4 市内の類似箇所の緊急点検結果
今回の事故箇所と同様に、下流部で埋設深さが浅い下水管に接続していることで、下水が滞留しやすい箇所にある750箇所のマンホールを緊急に点検した。
今回、点検したマンホール総数の約93%では、メタンガスは検出できなかった。また、メタンガスを検出したマンホールは全体の約7%あったが燃焼範囲の下限濃度5%を超えるものはなかった。
点検マンホール総数 | 750箇所(100%) |
メタンガス検出マンホール数 | 54箇所(7.2%) |
メタンガス濃度0.5%以上のマンホール数 | 5箇所(0.7%) |
メタンガス検出マンホール平均濃度 | 0.20% |
メタンガスの最大濃度 | 2.35% |
平均水温 | 23.0℃ |
今回の緊急点検箇所の内、14箇所のマンホールに温水が流入する箇所が含まれるが、これらにおいて2箇所のマンホールから微量のメタンガスが検出された。
調査マンホール数 | 14箇所 |
メタンガス検出マンホール数 | 2箇所 |
メタンガス検出マンホール平均濃度 | 0.10% |
平均水温 | 26.5℃ |
水温の最大値 | 44℃ |
5 緊急点検結果を受けての対応
今回の緊急点検の結果メタンガス濃度が、その他のマンホールに比べ高い箇所について次の対応を行う。
・メタンガス濃度が0.5%以上のマンホール5箇所について、当面1ヵ月に1回点検を行い、その結果により、それぞれの状況に適した測定頻度を定める。
・なお、これらの内メタンガス濃度が1%以上のマンホール2箇所について、7月末までに清掃を行う。
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